カヌーの横にアウトリガー(outrigger＝舷外浮材)と呼ばれる転覆を防ぐための“ウキ”を付けた「アウトリガーカヌー」。
浮材のお陰で安定性が増すため世代や経験を問わず誰でも挑戦がしやすく、「皆で一緒に漕ぐ」という他のマリンスポーツとは違った面白さもあるのだとか。浜辺から出発し、烏帽子岩を目指す茅ヶ崎ならではの体験コースをご紹介します！

生活のための移動手段から、自然を感じるレジャーに発展。
海と自然を敬うスピリットは現代も継承

アウトリガーカヌーの歴史は古く、発祥には諸説ありますが、現在のアウトリガーカヌーのルーツはハワイ、タヒチといったポリネシアン文化にあるといいます。今から数千年も前、船は大木一本をくりぬいて作られていました。漁や島から島への移動、物資の運搬などといった交通の手段として、島の人々の暮らしの根幹を支える重要な役割を担っていたそうです。
現代においてはレジャーとして楽しまれるようになりましたが、「カヌーには裸足で乗る」といった決まりや、乗る前に祈りをささげる習慣などに先人の文化に対する敬意が大切に残されています。
競技としても発展し、大会も盛んに行われています。本場のハワイではまるでかつての人びとの様に島から島へ、約65キロ長距離を漕ぐ過酷なレースが開催され、日本を含む世界中から参加者が集まるそうです。

「NPO法人パシフィックビーチクラブ(茅ヶ崎アウトリガーカヌークラブ)」はマリンスポーツを誰もが楽しく、安全に取り組める環境づくりによって裾野を広げることを目的に2005年発足。今回講師を務めてくれるのは同クラブ代表の塩澤正光さん。学生時代は競泳に打ち込み、一度は会社員となるも、オーストラリアで海の美しさに魅せられてダイビングのインストラクターに転身したという経歴の持ち主。クラブ発足の際、サーフィン等の茅ヶ崎で主流だったマリンスポーツ以外の何か新しいことをやりたい、とアウトリガーカヌーに着目したのだと言います。

▲茅ヶ崎アウトリガーカヌークラブ代表・塩澤さん。一緒に移っているのは愛犬のバンディーちゃん

ポジションごとの役割が大事！？
チームワークが楽しいスポーツ

体験で使用するアウトリガーカヌーは六人乗り。息を合わせて漕ぐことはもちろん、乗る席順によってもそれぞれ重要な役割があるのだとか。

先頭に乗る1番目の人は、他全員の見本になるため気持ちの強い人が向いているポジション。
2番目は一番の人と左右逆転して漕ぎ、まっすぐ進むようバランスを取る役割があります。
3番目、4番目は水をしっかり掻くのでパワーを発揮することが大事。
5番目は全員の様子を見て指示を出す“キャプテン”のポジション。
6番目は最後尾で舵を取る役割。舵取り用の特別なパドルを使います。

「6人それぞれの役割がどれも欠かせないものなので、皆で息を合わせないと前に進みません。そこが他のマリンスポーツとは違った特徴で、魅力でもあります。体験会の時にも参加者さんにそれぞれ役割を割り振って、ポジションをお任せします」(塩澤さん)

当日は1から丁寧なレクチャーの後、その日の参加者さんたちの乗り順を決め、航海へ出発。茅ヶ崎の海のシンボル「烏帽子岩」を目指します。上手く辿り着けたら、上陸も出来ちゃいます！

のんびり海の遊覧から本格的なレースまで。
間口は広くハマれば奥深い「アウトリガーカヌー」の世界へ出発！

「難しそう…と思われるかもしれませんが、アウトリガーカヌーは本当に間口の広いスポーツです。安定性の良いカヌーを使うので、レクチャー後はすぐに沖に出られる。水着に着替えたり水中に入ったりすることはありませんが、海面を間近に感じ、大自然を体全体で感じられます。
力を合わせて漕いで、海面をすべるように進んでいく醍醐味、目的地に着いた達成感は協力し合う競技ならでは。終わった後の一杯もまた格別ですよ(笑)」(同氏)

同クラブには2021年にキッズ部門も始動。大人部門では60歳以上の部門もあったりと世代を問わず始められ、自然の中でリフレッシュしながら全身運動にもなる、奥深い楽しみのあるスポーツです。

この夏、お一人様も、ご家族やお仲間同士でも、ぜひ挑戦してみませんか？

【感染予防対策として】
当日はマスク着用でお越しください。また、検温のご協力をお願い申し上げます。